しまってないしなってない

日記(2021.07.03)

 朝起きれない。何時間寝ても気持ち悪い。約束の時間から遅れること1時間30分、アルバイトの申し込みをしたお店から電話がかかってくる。「シスターの紹介ってことですね」と軽いノリで話が進み明日の夕方に面接に行くことになる。

 

 男のことがいつまでも脳裏にこびりついていて、奴の手首や瞳や似合わないリングの形をふとした瞬間に思い出す。もう二度と会うことはないだろうし、仲良くもなければお互い興味もなかったけれど、その形が忘れられない。

 

 前回の日記の続き。ナルシシズムの延長で恋愛する人にとって「好きな人」は自己の映し鏡であり、彼らはかけがえのない他人ではなく己の分身(と思い込んでいるもの)に惚れている。しかし他人は他人であり、思い込みは思い込みに過ぎないという当たり前の事実から生まれる齟齬が、彼らの自己を根本から揺さぶる。自己の崩壊を防ぐためには常に相手を支配し続ける(という錯覚を抱く)必要があり、粘着やストーカーはその典型と言えるだろう。

 

 と、他人の心理を推量する行為それじたいが既に分身と思い込みの構図を反復しているので、この辺にしておきます。

 

 もう会えない人が結構いる。きっと今もどこかで生きているだろう人、死んでしまった人とまちまちだが、この先こういうことが増えていくのだろうな、という予感がある。みんなのことを覚えていられるだろうか。終わりのない撤退戦、敗けの見えた総力戦が少しずつのしかかってゆく。